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何かを見て

ぞっと寒気がして 鼻の中がつんとなると

私の目は抗いようもなく潤む

薄っぺらい写真のフィルムの中に

わたしがつけた痛々しい痣だらけの

痩せ細ったきみをいくつも収めたのは

わたしがきみを愛している証拠でもあったし

 

せめて 愛しいきみの内臓を

根こそぎ刈り取れればと思う

わたしが そのもしもの話の中で

ただの猟奇にならないよう

そのための 保守的な行為でもあったし

 

わたしの聖女が

まだこの中に生きている証明を

至極単純に

わたしのなかのジル・ド・レイに

すとんと受け止めて欲しかったからでもある

笑み

軽く人間不信だ。

同じ制服を着ている人を見つけると落ち着かなくなる。影で私の悪口を言ってるんじゃないのか、私のことを死ねばいいのにと思っているんじゃないのかと。

クラスでは決まってみんな笑顔である。

わたしだけ真顔で本を読んでいるので仲間はずれのようになって、なにも楽しいことが考えられない。

美術部にはまだ信頼できる人がいるが、クラスではもうダメだ。諦めている。

みんなが笑顔で私の悪口をこそこそ言っているように思える。

あいつだけ落ちこぼれで、あいつだけ運動も勉強もできないし地味で、あいつだけ、あいつだけと頭の中がうるさいもので満たされていく。

わかってるよ私だけ不良品なのはって思ってるけど、耐えられそうにない。GWが終わったらまたどうにかなってそうだ。新しいところで生きるのはめんどくさいねー。

友達ができない。

のは別にもういいんだけど(話せる相手さえいれば充分だということがわかった)、遠足の時のお弁当の時間は地獄だった。

1人なのでレジャーシートは敷かずにその辺に座って食べることにした。相変わらずお弁当がおいしくて幸せだった。

だけど最後に残しておいた唐揚げを食べてる時ぐらいに、いきなり名前もわからない先生が近付いてきてわたしの隣に座った。

 

「どこの中学校だったの?」と聞かれて答え、「その中学校の友達はここの高校に来てないの?」と聞かれ「来てません」と答え、もうその時点で私は話すらしたこともない他人から多くの目線を向けられていた。ひたすら死にたくなった。

そして先生は私のことを憐れみに来ていたらしく、友達がどうのこうの、積極性がどうのこうのと話された。

 

言うだけ言って去ったその背を見て、私は怒りが収まらなかった。

確かにその行動は善意だろうが、別に1人でお弁当食べてたっていいだろ。誰にも迷惑かけてないんだからもういいじゃん。しかもお前のせいで周りのクラスメイトからは「クラスに馴染めない人間」ってレッテルが貼られたんだよ。ふざけるんじゃない。

 

もう1人先生が来た。死ねばいいのにと思った。

こっちは自分の身の上話まで絡めてきた。それで安心ができるわけじゃなかったし、むしろ死にたいという思いがさらに強まっていった。

その場から移動しようと思ったが、友達がいないのでそこ以外のどこにも居場所がなかった。どちらかというと逃げ場が。

 

クラスメイトがみんな必死になって私にお菓子を持ってきた。苦手なバレーに誘われた。本当に死にたくて仕方なかった。私のせいで何もかも楽しくなくなっている気がした。

 

誰かが通る度に憐れみの視線を向けてくるのが本当につらかった。

別に関係ないから手出ししないでほしい。その善意は他の方向に使ってほしい。私は私でやっていくからもうほっといてほしい。

本当に助けて欲しい時には助けて欲しい人に助けてもらうから、はっきり言って今まで会話したこともなかった人に慰められても何も嬉しくないよ。

 

帰り道でその事を考えながらふらふら歩いていると、「大丈夫ですか?」とまた知らない先生が声をかけてきた。作り笑いを見せるのに必死だった。

 

あんなめんどくさいところには二度と行きたくない。友達作るものも作れない。

小説

人生の価値観とか、人がすぐに迷い込む発想とかどーでもよさそうな生き方をしているけど、案外僕ってそんなもんじゃないんだぜ。

メッゾさんは至ってそれをどうでもよさそうにつぶやいた。だけど、それが本当に彼にとって戯言なのかはイマイチ俺にはわからなかった。なので彼の動向を見守ることにして、とりあえず表面上では俺は黙った。

「だからクルックスを...殺した時からずっと泣いてたんだ、僕。...大好きだったからね。でももう立ち直ったよ」

「......」

「ねえ、びっくりしてるの?...僕そこまで虚弱じゃないんだよ。......ねえ、それとも僕の話聞き飽きた?」

冗談めいた表情で訊いているはずだろうが、心に適応しない感情が彼の中で蠢いていたらしく、それは歪んだ作り笑いになりかけていた。その表情は俺が一番大好きなものだったが、きっと彼は今の自分を一生認めたくないと思っているのだろう。この人の細められた朱色の目は、親友を手にかけて、アヴィナを衝動的に殺して、次は自分だろうと言いたげだ。俺は彼の口の端に指を引っ掛けたくなったが、そんなことをしたらこの人は俺の思っている方向とは別の向きに壊れてしまうのでもう言いたいことは喋ることにした。

 

「泣けばいいのに」

「は、」

メッゾさんはらしくない乾いた笑い声を出した。

僕はもう大丈夫だよ。どうしたの拓くん。そう彼は震える声で続けたが、俺はお構い無しにもう一度言った。

「泣けばいいのに」

「ね、ねえ、拓くん。一緒にこの曲聞こう。僕が昔から好きな......どうしたの。ねえ」

 

異常なのが俺も、彼もだということはわかっていた。

 

気が付けば彼の首を絞めていた。掠れていく高めの声がほんとうに嫌だった。拓くんやめて。ねえやめて。苦しいよ。君だけは殺したくない、やめて、

 

ああ、やめるのはあんただ、疎ましい!

 

吐き捨てるように叫ぶと、彼はようやく絶望めいた瞳をはっきりと見せた。

 

 

「だって俺とあなたは同類なんだ」

 

大切なものを失ったなら、こうやって2人で堕ちて埋め合いっこするしかないんだよ。

 

 

 

 

 

 

しぬほどかきかけ

めも

いいこと

簿記の課題をクラスで2番目に終わらせた。

 

美術部の体験入部で先輩方に褒められた。

 

国語の漢字テストで満点を取った。

 

 

だめなこと

黒板の板書を消すのが遅れた。

 

 

体育で1人だけ注意された。

 

貧血を心配された。

 

普通に過ごしてるだけで無性に泣きそうになる。

 

英語の授業で周りの役に立てなかった。

 

貧血持ちだからってバスに立ち乗りもできない。

 

教科書を雨で濡らして怒られた。

 

その程度でイライラした。

 

英語の課題が中途半端。

 

まだ寝ていない。

 

高校の中の誰からも興味を示されない。

 

死にたいと毎日のように思っている。

 

近くに誰1人友達がいない。

旅に出ます

さがさないでくーださーい

 

正確には旅というか、軽く迷った。

美術部の体験入部が終わって、玄関まで出た時に停留所に止まっていたバスを見つけて一目散に飛び乗った。

 

私の見立てではそれに乗って途中の停留所で乗り換えればあっさり帰れるはずだったんだけど、どうにもその停留所に行く道と違うところを通っている気がした。バイク屋。ガソリンスタンド。自動車学校。教会。

これはマズイなと思って知っている公園の名前が付いている停留所で降りた。バスはそのまま家とは反対方向に進んでいってたので、あそこで降りてなかったらと思うとこわい。

(というかそのバス、あとから考えてみたら通る停留所がやはり通常と違うものだった)

そのまま公園のある通りに出て公園の前の停留所でバスを待った。時刻表を見ながらいつ来るかそわそわしてたけど、案外数分も待たずに目的のバスが来た。なんかそのバスが行く道も合ってるかすら分からなくて怖かったけど、住むところが近い同級生が途中で乗ってきたのでホッとした。

高校への携帯持ち込みも禁止されてるからスマホを持ってこなかったし、車を持っている父の会社までもかなりの距離があるので長旅になるかと思ったけど、まだまだ小旅行のライン。

でも結構ヒヤヒヤもしたし、バスの車窓からでしかほとんど見ないような景色を見れた嬉しさもあったし、このハラハラ大冒険のために迷えてよかったです。