友達ができない。

のは別にもういいんだけど(話せる相手さえいれば充分だということがわかった)、遠足の時のお弁当の時間は地獄だった。

1人なのでレジャーシートは敷かずにその辺に座って食べることにした。相変わらずお弁当がおいしくて幸せだった。

だけど最後に残しておいた唐揚げを食べてる時ぐらいに、いきなり名前もわからない先生が近付いてきてわたしの隣に座った。

 

「どこの中学校だったの?」と聞かれて答え、「その中学校の友達はここの高校に来てないの?」と聞かれ「来てません」と答え、もうその時点で私は話すらしたこともない他人から多くの目線を向けられていた。ひたすら死にたくなった。

そして先生は私のことを憐れみに来ていたらしく、友達がどうのこうの、積極性がどうのこうのと話された。

 

言うだけ言って去ったその背を見て、私は怒りが収まらなかった。

確かにその行動は善意だろうが、別に1人でお弁当食べてたっていいだろ。誰にも迷惑かけてないんだからもういいじゃん。しかもお前のせいで周りのクラスメイトからは「クラスに馴染めない人間」ってレッテルが貼られたんだよ。ふざけるんじゃない。

 

もう1人先生が来た。死ねばいいのにと思った。

こっちは自分の身の上話まで絡めてきた。それで安心ができるわけじゃなかったし、むしろ死にたいという思いがさらに強まっていった。

その場から移動しようと思ったが、友達がいないのでそこ以外のどこにも居場所がなかった。どちらかというと逃げ場が。

 

クラスメイトがみんな必死になって私にお菓子を持ってきた。苦手なバレーに誘われた。本当に死にたくて仕方なかった。私のせいで何もかも楽しくなくなっている気がした。

 

誰かが通る度に憐れみの視線を向けてくるのが本当につらかった。

別に関係ないから手出ししないでほしい。その善意は他の方向に使ってほしい。私は私でやっていくからもうほっといてほしい。

本当に助けて欲しい時には助けて欲しい人に助けてもらうから、はっきり言って今まで会話したこともなかった人に慰められても何も嬉しくないよ。

 

帰り道でその事を考えながらふらふら歩いていると、「大丈夫ですか?」とまた知らない先生が声をかけてきた。作り笑いを見せるのに必死だった。

 

あんなめんどくさいところには二度と行きたくない。友達作るものも作れない。